アレルギーはなぜ増えているのか

アトピーの子供アトピーも含めアレルギー患者の数は、年々増加しているといわれています。厚生労働省の調査でも全国民の3分の1が何らかのアレルギーに悩んでいるとの報告があります。

ではなぜ、アレルギーで悩む人が年々増えているのでしょうか。

その原因については以下のようなものが考えられています。

  1. アレルゲンの増加
  2. 食生活の変化
  3. 環境汚染
  4. 衛生仮説
  5. 腸内細菌環境
  6. ストレス


そこで、これらアレルギー増加の原因についてひとつずつ見ていきたいと思います。

1.アレルゲンの増加

スギ花粉アレルギーを起こすアレルゲンの量が昔より増加しています。特にスギ花粉とダニが顕著です。スギ花粉については、2040年には現在よりも25%増加すると言われています。また、家の中のダニについては住環境がよくなったことで、ダニも住みやすくなり30年前の3倍にまで増えています。

2.食生活の変化

肉中心の食事食生活の欧米化で、アレルゲンとなるたんぱく質の摂取量が増えています。また、肥満によって自律神経のうちの副交感系神経が優位になりることで、IgE抗体の量が増えアレルギーが悪化する傾向にあります。

3.環境汚染

車の排気ガス体にアレルゲンが入ってきたときに、免疫反応を強くする触媒のような働きをする物質があります。たとえばディーゼル車の排気ガスや環境ホルモンなどが挙げられます。

4.衛生仮説

手を洗う子供衛生仮説というのは、現代型の生活環境において細菌や寄生虫の感染症が減ったことによりアレルギーが増えたという仮説です。

アレルギーは白血球のうちのTh1細胞とTh2細胞のバランスが崩れ、Th2が優位になることで起きます。しかし、細菌に感染するとTh1細胞が細菌を殺すための指令を出すため、Th1が優位になります。その結果、アレルギー反応が起きにくくなるといわれています。

5.腸内細菌環境

腸内細菌生まれたばかりの赤ちゃんはTh2優位の体質ですが、その後、腸内細菌のバランスが変わり、ビフィズス菌などによって徐々にTh1優位の体質になると言われています。

しかし、抗生物質の使用などで腸内細菌を叩いてしまうことなどによってTh2優位なまま成長してしまうことが、アレルギーの原因とも言われています。

ちなみに腸内細菌環境は生後2年程度で決まってしまい、その後は変えることが難しいといわれています。

6.ストレス

ストレスの多いサラリーマンストレスを感じると交感神経でアドレナリンが多く作られます。このアドレナリンがTh1の働きを抑えるため、Th2優位となり、結果としてアレルギー体質になるといわれています。


以上のように、現代社会は昔と比べアレルギー増加の要因があふれています。これらの中には都市部で生活する以上避けられないものもありますが、生活習慣を改善することで防げるものもあります。

参考文献:
アレルギーはどうして増えているか、吉開泰信「臨床と研究・81巻3号」83〜89頁、平成16年

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