現代型生活環境とアトピー

今回は、「現代型の生活環境」がアレルギーの原因になるということをお話いたします。

免役が細菌と戦う体を守る免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」という2種類の免疫があります。

「自然免疫」は生まれつき持っている免疫機能です。一方「獲得免疫」は成長する段階で徐々に発達していく機能です。

獲得免疫は「ヘルパーT細胞(Th1やTh2)」がコントロールしていて、アレルギー反応は、この獲得免疫反応のひとつです。

例えば風邪をひいたときは、まず自然免疫に含まれる「マクロファージ」、「ナチュラルキラー細胞(NK細胞)」などが風邪のウィルスを攻撃します。

さらに、自然免疫から知らせを受けた獲得免疫内の「ヘルパーT1細胞(Th1)」が、「B細胞」という細胞にウィルスに対する抗体を作らせ、ウィルスを攻撃します。


石けんで手を洗うところで自然免疫は、生まれつき持っているものですが、獲得免役同様に幼少の頃に細菌やウィルスに感染することで発達していきます。

自然免疫が未発達になると、それに含まれるナチュラルキラー細胞の働きが弱ってしまいます。

ナチュラルキラー細胞は、ヘルパーT1細胞(Th1)を優位にする働きがありますが、その働きが弱まることで、結果として「ヘルパーT2細胞(Th2)」優位の状態になります。

ヘルパーT2細胞が優位になると、かゆみや炎症を引き起こす「IgE抗体」の量が増え、アレルギー反応を起こしてしまいます。


肥満の男性さらに、もう一つアレルギーの原因となる生活環境要因があります。

「運動不足」や「肥満」「だらだらとリラックスしすぎる生活」を送っていると、自律神経のうち「副交感神経」が優位な状態になります。

副交感神経が優位になると、ヘルパーT細胞を含む、リンパ球の量が増加します。

ヘルパーT2細胞(Th2)優位の状態でリンパ球全体の量が増加すると、ヘルパーT2細胞がより優位な状態になります。その結果、IgE抗体が作られる量もより増えてしまい、アレルギーの症状が強くなってしますのです。


参考文献:
塩原哲夫:科学物質はTh1Th2バランスにどのような影響を与えるか,皮膚アレルギーフロンティア,Vol4 No3 2006-11,141-147
安保徹「アトピー性皮膚炎患者のためのステロイド離脱」『自律神経と免疫の法則』三和書籍、2004年、195頁

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